特集 アトピー性皮膚炎の病態に基づいた新たなアプローチ
Ⅱ.バリア異常のホットトピックス
日比野利彦
1
Toshihiko Hibino
1
1資生堂リサーチセンター
pp.184-189
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201602022
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天然保湿因子(NMF)はフィラグリンから作られ,アトピー性皮膚炎(AD)の原因遺伝子の1つであるということが分かっている。我々は,NMF産生に関わる酵素系について検討した結果,NMF産生の最終段に働く,ブレオマイシン水解酵素(BH)を同定した。フィラグリンは,カスパーゼ-14,カルパイン-Ⅰ,BHが作用することにより,アミノ酸レベルまで分解される。これらの酵素はADでは極度に低下している。このことは,フィラグリン遺伝子異常ばかりではなく,NMF産生にいたる分解系の異常も乾燥肌やバリアー機能に大きな影響を与えることを意味している。