原著
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の薬物使用実態と自覚症状の日内変動に関するインターネット調査
瀬戸口靖弘
1
Yasuhiro Setoguchi
1
1東京医科大学呼吸器内科学分野
キーワード:
COPD
,
LABA
,
LAMA
,
ICS/LABA
,
日内変動
,
個別化治療
Keyword:
COPD
,
LABA
,
LAMA
,
ICS/LABA
,
日内変動
,
個別化治療
pp.1282-1292
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201509122
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,長時間作用性気管支拡張薬の登場とともに治療可能な疾患となっている。最近,COPDの吸入治療薬として剤型,吸入デバイス,吸入回数などの異なる多くの種類の長時間作用性吸入薬が登場して,吸入薬の選択肢は,拡大しつつある。しかし,実臨床の場におけるCOPD吸入治療薬の使用の実態と症状の日内変動,治療薬の満足度との関係は,明らかになっていない。この点を明らかにするために患者サイドからのインターネットによるアンケート調査を実施し,分析を行った。現在,通院中の477名より回答が得られ,1日1回吸入薬,2回吸入薬とも規定通りの使用は約50%に過ぎず,COPD安定期に使用されるlong-acting β2 agonist(LABA)やlong-acting muscarinic antagonist(LAMA),inhaled corticosteroid(ICS)/LABA配合剤,LABA/LAMA配合剤が,緊急薬として使用されたり,規定以上の回数と緊急薬が併用されたりする実態が明らかになった。また,吸入薬による治療中でありながら自覚症状も残存していることも明らかになった。吸入薬の過剰使用は自覚症状の残存によるところが多く,これは,薬物治療の満足度が十分でないことからも裏付けられ,医師,患者,薬剤師間の意思疎通の改善,また,患者のライフスタイルや症状に応じた個別化治療の必要性が浮かび上がってきた調査結果となった。