連載 カラーグラフィック
画像から読み解く感染症(20)
Ⅶ 泌尿・生殖器 3.骨盤放線菌症
瀬川景子
1
,
進藤美智子
2
,
福田俊夫
3
,
芦澤和人
4
,
上谷雅孝
5
Segawa Keiko
1
,
Shindo Michiko
2
,
Fukuda Toshio
3
,
Ashizawa Kazuto
4
,
Uetani Masataka
5
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線診断治療学 助教
2市立大村市民病院 放射線診療部長
3長崎みなとメディカルセンター市民病院放射線科 主任診療部長
4長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床腫瘍学 教授
5長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線診断治療学 教授
pp.4-13
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201702004
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骨盤放線菌症は口腔内常在菌であるActinomyces属(おもにActinomyces israelii)を起炎菌とする感染症である。放線菌は,口腔内,消化管内,生殖器の常在菌であり通常では病原性を示さないが,炎症や外傷による粘膜損傷部から組織内に進入することで病原性を発揮する。女性生殖器感染症として,Intrauterine device(IUD)の長期(3年以上)使用歴があるか,もしくは装着中の患者に合併することが典型的である。骨盤内に浸潤傾向をもつ充実性腫瘤や,ほぼ充実性の付属器腫瘤および膿瘍を形成し間膜を越え進展するような索状の拡がりを認める。MRIでは慢性炎症にともなう豊富な線維成分を反映してT2強調画像(T2WI)で低信号を呈しやすい。腫瘤形成部分は造影剤による強い増強効果を示し,浸潤性の進展形態を示す点は悪性腫瘍と似た画像所見を呈する。