Japanese
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特集 HIV感染症の流行はまだ続いている
3.HIV感染症における認知障害(HAND)
HIV Associated Neurocognitive Disorders
健山正男
1
,
上薫
2
,
藤田次郎
3
Tateyama Masao
1
,
Kami Kaoru
2
,
Fujita Jiro
3
1琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学 准教授
2琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学
3琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学 教授
キーワード:
HIV
,
認知機能障害
,
HAND
,
CPEランク
Keyword:
HIV
,
認知機能障害
,
HAND
,
CPEランク
pp.45-50
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201605045
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1996年に有効な多剤併用療法が登場して以来,HIV感染に対する抗レトロウイルス療法(Antiretroviral therapy:ART)は生命予後を著しく改善させた。今後の課題は,合併症のマネージメントを通して,いかに良好なQOL(quality of life)を維持するかである。近年,その有病率の高さからも注目されている合併症として,HIV関連神経認知障害(HIV Associated Neurocognitive Disorders:HAND)があり,わが国でも報告が相次いでいる。HIVに関連した中枢神経系合併症は「AIDS脳症」として臨床の現場では古くから知られていたが,病態の理解に基づく疾患概念の共有化(定義)は2007年に提唱1)されたばかりであり,いまだに,病態,診断,特に治療法についてはコンセンサスが十分得られていない事項もあり,いまだ発展途上の領域である。本症を発症すれば,日常生活のQOL低下やアドヒアランスの維持が困難なだけでなく,薬剤耐性の出現が危惧され,最終的には予後に重大な影響を与えるとされる。本稿では,現在までに明らかにされているHANDにおける臨床研究の動向を中心に概説する。