Japanese
English
特集 インフルエンザの最新知見 ~鳥,パンデミックと季節性インフルエンザ対策をどうするか~
3.H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染したヒトの臨床,病理およびウイルス学的知見
Clinicopathological and virological findings of human cases of H5N1 avian influenza virus infection
中島典子
1
Nakajima Noriko
1
1国立感染症研究所・感染病理部 主任研究官
キーワード:
H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス
,
急性呼吸促迫症候群
,
び慢性肺胞障害
,
サイトカインストーム
Keyword:
H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス
,
急性呼吸促迫症候群
,
び慢性肺胞障害
,
サイトカインストーム
pp.40-48
発行日 2014年11月25日
Published Date 2014/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201412040
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1997年に香港ではじめてH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒト感染例が報告されて以来,発生国はアジアを中心に16カ国になり,感染者数は668人,死亡者数が393人になった。ヒトからヒトへの伝播は限られ,パンデミックにはならないが,毎年,鶏からヒトへの感染が散発的に報告され,その感染動向が注視されている。致死率はおよそ60%であり,ほとんどが重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)を併発し,呼吸不全で死亡している。剖検例の病理所見の主病変は肺であり,組織学的には,び慢性肺胞障害(DAD)の滲出期から器質化期を呈する。H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスは,ヒト体内でα2,3-Galシアル酸を表出している肺胞上皮細胞に感染し,重症のARDSと全身性の炎症反応を引き起こすと考えられている。