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特集 嫌気性菌感染症の基礎と臨床
I 基礎 5.抗菌薬に耐性の嫌気性菌
Antimicrobial resistance anaerobes
田中香お里
1
Tanaka Kaori
1
1岐阜大学生命科学総合研究支援センター嫌気性菌研究分野 教授
キーワード:
Bacteroides fragilis group
,
Prevotella
,
Fusobacterium
,
Bilophila
,
Desulfovibrio
,
嫌気性グラム陽性球菌
Keyword:
Bacteroides fragilis group
,
Prevotella
,
Fusobacterium
,
Bilophila
,
Desulfovibrio
,
嫌気性グラム陽性球菌
pp.68-72
発行日 2013年9月25日
Published Date 2013/9/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201310068
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嫌気性菌の薬剤感受性については培養の特殊性や費用面から日常的な検査で分離菌の感受性情報が得られない場合も少なくない。そのため,よく分離される主要な菌群や,分離頻度は高くないものの重篤な感染症にかかわり,耐性株であることが懸念される菌群については耐性・感受性の傾向を把握しておくことが望ましい。臨床材料からもっとも分離頻度の高いBacteroides fragilis groupは幅広く多様な耐性を示す。この群には多くの菌種が含まれるが,B. fragilisとそれ以外のB. fragilis groupの菌種(non-B. fragilis)に分けると,non-B. fragilisではより感受性が悪く,特にセファマイシン系とクリンダマイシンに対する耐性率がB. fragilisより高い傾向がある。Prevotellaでは黒色色素非産生の菌群で,FusobacteriumではF. variumで耐性菌が多い。腹腔内感染症から多く分離されるBilophila,菌血症などから分離されるDesulfovibrioはいずれも微小で発育が遅い菌群であるが,ピペラシリン,タゾバクタム/ピペラシリンに耐性であるほか,セファマイシン系にも耐性を示す株が存在する。嫌気性グラム陽性球菌ではグラム陰性桿菌のような多剤耐性は認められないが,マクロライド系,クリンダマイシン,キノロン系に耐性を示す株が認められる。