特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.
【渡航後の体調不良】
症例❶マラリア
岩本 佳隆
1
,
齋藤 崇
1,2
,
野本 英俊
3
1国立病院機構岡山医療センター 総合診療科
2国立病院機構岡山医療センター 感染症科
3国立国際医療研究センター国際感染症センター 総合感染症科
キーワード:
マラリア
,
末梢血塗抹標本
,
根治治療
,
予防
Keyword:
マラリア
,
末梢血塗抹標本
,
根治治療
,
予防
pp.1427-1431
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204573
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
ガーナでの複数回のマラリア罹患歴を有した若年女性の1例
患者:20代、女性
渡航歴:ガーナ(最終渡航:半年前に3カ月間)
現病歴:仕事のためガーナへ繰り返し渡航しており、これまでに現地で計4回マラリアに罹患(最終罹患:2年4カ月前)したが、いずれも現地で処方された抗マラリア薬を数日間内服して軽快した。来院10日前から自然解熱を繰り返す48時間周期の発熱と悪寒があり、受診した。諸検査ではC反応性蛋白(CRP)上昇と血小板減少、肝脾腫を認め、末梢血塗抹標本でマラリア原虫を認めた(寄生率0.02%)。臨床経過や塗抹所見からは三日熱マラリアあるいは卵形マラリアが示唆され、アルテメテル・ルメファントリン配合錠で治療を開始した。PCR(polymerase chain reaction)検査でPlasmodium ovaleが検出され、卵形マラリアと確定診断した。グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)活性が正常であることを確認し、プリマキンによる根治治療を行った。今後も渡航予定があることから、マラリアの予防について指導した。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.