連載 臨床薬学のための病態生理(10)
各論 各種病態と薬物療法のターゲット1.精神・神経系疾患
徳岡健太郎
1
,
北川泰久
2
1東海大学医学部付属八王子病院神経内科 講師
2東海大学医学部付属八王子病院神経内科 講師
2〔東海大学名誉教授〕
pp.2271-2279
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018102271
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脳血管障害とは(一般的な用語で脳卒中とも言うが),脳血管の異常で起こる脳組織障害のことである。脳血管障害は,虚血性脳血管障害と出血性脳血管障害とに分けられ,虚血性では脳梗塞,出血性では脳出血とくも膜下出血がある。脳梗塞は,脳血管が閉塞して脳組織障害を起こすもので,ラクナ梗塞,アテローム血栓性脳梗塞および心原性脳塞栓症に分類される。また,主に脳実質内に出血するのが脳出血,脳を覆う3層の髄膜のうちくも膜の下に出血するのがくも膜下出血である。治療法は多岐にわたるが,脳梗塞は発症4.5時間以内の超急性期では血栓溶解療法が選択され,状況によっては血管内治療も検討される。また,脳梗塞は病型により抗血小板薬または抗凝固薬による再発予防が行われる。脳出血では,出血部位,出血量により血腫除去術が選択され,くも膜下出血では原因となる動脈瘤のクリッピング術が行われる。