特集 精神科領域における薬物療法の現状と薬剤師の役割
4.うつ病・自殺対策における薬剤師の役割
吉見陽
1
,
野田幸裕
2
1名城大学薬学部病態解析学I
2名城大学薬学部病態解析学I 教授
pp.1021-1027
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018041021
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うつ病は再発と再燃を繰り返す慢性の精神疾患であり,心理社会的な問題に加え,認知機能障害や職業的機能障害,生活の質の障害など,さまざまな影響を及ぼす。治療には抗うつ薬を中心とした薬物療法や精神療法が行われるが,精緻な臨床評価の下で個々の患者背景に応じた治療法が選択される。うつ病治療における注意すべき徴候の一つに自殺関連事象があり,治療薬である抗うつ薬が誘引となる場合もある。薬剤師はうつ病治療の適正化や過量服薬による自殺の予防におけるキーパーソンとして,患者が適切な精神科医療を受けられるように,医師,看護師,その他の医療従事者と連携を深めるとともに,専門的な役割を担うことが期待されている。