発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801112
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[目的]配合剤を含む吸入ステロイド薬(ICS)を使用しているにも関わらず,コントロール不良の気管支喘息患者において,チオトロピウムソフトミスト製剤の効果および同剤が効果的な患者背景を検討する。
[方法]中等症から重症の気管支喘息で,ICSを使用中にも関わらずコントロール不良の時に,チオトロピウムソフトミスト製剤を使用した患者を対象とした。同剤を使用した患者に対し,Global Evaluation of Treatment Effectiveness(GETE)または増悪抑制,呼吸機能改善を評価し,改善群と無効群において患者背景の違いを2群間で比較した。
[結果]72例を対象に解析を行った。症状改善群(GETEで著効とされた,または増悪が著明に抑制された症例)は32例で,咳嗽症状の改善が多く見られた。無効群との比較では,前年の増悪回数が有効群で有意に多かった。呼吸機能改善群(FEV1〔1秒量〕が150mL以上改善)は19例で,無効例と比較すると,非喫煙症例が有意に少なく,治療前のFEV1は有意に低値であった。症状のみ改善群,呼吸機能改善群,無効群の3群を比較すると,呼吸機能改善群は男性優位,治療前のFEV1が低値で喫煙関連が考えられた。一方,症状のみ改善する症例は女性優位で,症状として咳嗽が多く,閉塞性障害が少ない症例であった。また末梢血好酸球が多い症例は,無効群が有意に高い傾向であった。
[結語]チオトロピウムソフトミスト製剤は閉塞性障害の強い症例または増悪回数の多い症例で効果が高いが,その反応群に違いがある可能性のあることが示唆された。