特集 抗インフルエンザ薬物療法 update~最新の診断・治療戦略~
5.インフルエンザの重症化と肺炎
中島典子
1
,
長谷川秀樹
2
1国立感染症研究所・感染病理部 室長
2国立感染症研究所・感染病理部 部長
pp.2275-2280
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201710091
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インフルエンザに肺炎あるいは急性呼吸促拍症候群(ARDS)を併発して死亡した症例を病理学的・分子生物学的に解析した結果,得られた知見について解説する。インフルエンザの重症化は,感染したインフルエンザウイルスの特徴(ウイルス因子)や,インフルエンザウイルスと共感染している細菌や真菌,他の呼吸器感染ウイルスなどの有無(共感染因子)に加え,患者の年齢,基礎疾患,免疫応答(宿主因子)が大きく関与している。インフルエンザ関連ARDSの発症機構については,主原因がインフルエンザウイルス肺炎の場合と敗血症の場合があり,後者では早期に呼吸器官以外の多臓器障害も併発してくる。いずれの場合も,抗炎症療法とともにECMO(extracorporeal membrane oxygenation)などの治療法を導入していくことが重要である。