発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2016392563
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【目的】頭頸部がん患者の放射線皮膚炎に対するセラミド含有保湿剤(以下、保湿剤)の有用性を、皮膚の水分量と弾力性、皮膚炎の評価と皮膚炎の苦痛の程度から検討した。【方法】中咽頭・下咽頭・喉頭・舌および付属のリンパ節に総線量50Gy以上照射する患者を対象に、保湿剤を毎日塗布した。照射前に照射部位の皮膚の弾力値と水分値を測定した。治療終了時に、放射線皮膚炎を放射線療法医が有害事象共通用語基準(CTCAE)v4.0により評価し、苦痛の程度を6段階評定で確認した。【結果】対象者は45名、平均年齢69.5±8.0歳であった。弾力値は治療前18.6±7.6、終了時16.4±4.7、水分値は治療前67.8±10.7、終了時67.1±11.9でいずれも差がなかった。皮膚炎は、グレード1が5名(11.1%)、グレード2が27名(60%)、グレード3が13名(28.9%)であった。皮膚炎のグレードが高いほど苦痛が強く、有意差が認められた(p=0.023)。苦痛と弾力値の間に負の弱い相関が認められた(p=-0.345)。【考察】保湿剤の塗布により、放射線療法中の皮膚の保湿性と弾力性は維持される。治療終了時、全対象者が皮膚炎を発症していたが、皮膚の弾力性の維持が患者の苦痛を緩和する可能性が示唆された。
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