特集 新しい医療を拓くメカノバイオロジー
5.血管新生のメカノバイオロジー
弓削進弥
1
,
藤原正和
1
,
福原茂朋
2
1日本医科大学先端医学研究所 病態解析学部門分子細胞構造学分野
2日本医科大学先端医学研究所 病態解析学部門分子細胞構造学分野 教授
pp.1451-1454
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201706079
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血管新生とは,既存血管から新たな血管網が増生する現象であり,生体恒常性維持に寄与する一方,さまざまな疾患の発症・進展と密接に関連する。血流や血圧に起因するメカニカルストレス(ずり応力,静水圧,伸展張力)は,内皮細胞におけるメカノトランスダクション経路を活性化し,血管新生における血管の発芽,分枝,陥入,退縮さらには管腔形成など,さまざまなプロセスを制御する。また,内皮細胞は,基質の硬さなど細胞外環境の機械的性質を感知し,血管新生を制御する。最近の研究から,血管新生におけるこれらメカノトランスダクション機構の分子実体が徐々に明らかにされつつあり,今後,これら知見を踏まえた新たな臨床応用への展開が期待される。