発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201701125
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DOAC(direct oral anticoagulants)は,非弁膜症性心房細動に対する心原性脳塞栓症の発症予防として広く認知されるようになった。しかし,ワルファリンにおけるビタミンKに相当する中和薬が存在しないことが議論となってきた。イダルシズマブはダビガトラン特異的中和剤であり,ダビガトランのトロンビンへの結合を阻害することにより抗凝固作用を中和する。イダルシズマブは「生命を脅かす出血または止血困難の出血の発現時,もしくは重大な出血が予想される緊急を要する手術または処置の施行時におけるダビガトランの抗凝固作用の中和」を効能・効果として,2016年9月に製造販売承認を得た。ダビガトランは現時点で唯一,中和剤が存在する薬剤となった。出血リスクの高い症例に対しては,ダビガトランが選択肢にあげられるようになると考えられる。