特集 高齢者医療におけるサルコペニア・フレイル対策
2.ステロイドによる筋萎縮のメカニズム
田中廣壽
1
,
清水宣明
2
,
吉川賢忠
2
1東京大学医科学研究所附属病院アレルギー免疫科 診療科長
2東京大学医科学研究所附属病院抗体・ワクチンセンター 免疫病治療学分野・教授
pp.2103-2109
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201509059
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サルコペニアをはじめとした骨格筋萎縮の臨床的重要性が認知されつつあるとともに,骨格筋研究も大きな転換期にある。骨格筋独自の特性に基づいたオリジナリティーの高い研究が続々と発信され,医学に従来では想像もし得なかった展開をもたらしている。グルココルチコイドは,グルココルチコイドレセプターを介した協調的遺伝子発現制御によって骨格筋タンパク合成-分解を精緻に制御しており,ステロイドミオパチーはその破綻である。また,骨格筋は肝臓,脂肪と密接なコミュニケーションをとって生体のエネルギーフローを制御していることも明確になった。今後,ステロイドミオパチーの診療は着実に進歩し,骨格筋は新しい医療資源としても注目されるであろう。