連載 薬剤師による処方設計(36)
精神科領域における 薬剤性QT延長症候群予防に向けた 病棟薬剤師の取り組み
吉田真理
1
,
渡辺享平
1
,
中村敏明
2
1福井大学医学部附属病院薬剤部
2福井大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長/講師
pp.131-136
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201507131
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QT延長症候群(LQTS)は,重篤な転帰をたどる危険性のある症状であり,LQTSを誘発する薬剤には抗不整脈薬以外に,多種多様なものが知られている。本症候群は発現の予測が困難なこともあり,医療現場で効果的な予防対策を講じるのが難しく,多くの問題を抱えている。特に精神科領域では,その病態に起因してLQTSのリスクが高いとされ,細心の注意を払う必要がある。 本稿では,精神科担当薬剤師が薬剤性LQTSのリスクがあるとされる新規抗うつ薬エスシタロプラムの適正使用および副作用早期発見を目的として実施した取り組みを紹介するとともに,その有用性を後方視的および医師へのアンケート調査から評価し,今後の課題について検討したので報告する。