- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
季節性及び通年性アレルギー性鼻炎の症状は,鼻汁,くしゃみ,鼻閉及び鼻の痒みであり,治療薬として抗ヒスタミン薬が一般的に使用されている。しかしながら,抗ヒスタミン薬単剤のみでは鼻閉に対して効果が弱いため,このほかに血管収縮作用を有するプソイドエフェドリン(PSE)などのα交感神経刺激薬と抗ヒスタミン薬の配合剤が用いられている。PSEのα交感神経受容体刺激を介した心血管系作用(血圧上昇及び心拍数の増加)及び中枢神経系作用はエフェドリンより弱いため,PSEはアレルギー性鼻炎の治療薬(処方箋薬[PSEとフェキソフェナジン〈FEX〉の配合剤]及びOTC[over the counter]医薬品)として従来から用いられている薬剤である。 米国で市販されているPSEと第二世代抗ヒスタミン薬の配合剤であるClarinex-D(12 HOUR,24 HOUR),Semprex-D,Allegra-D(12 HOUR ALLERGY AND CONGESTION,24 HOUR ALLERGY AND CONGESTION),Zyrtec-D(12 HOUR),Claritin-D(12 HOUR,24 HOUR)は季節性及び/又は通年性アレルギー患者を対象として,有効性及び安全性が検討されている。PSEを含むいずれの配合剤もアレルギー性鼻炎を抑制し,良好な忍容性が認められている。米国食品医薬品局(FDA)は,承認済み又はOTCモノグラフに収載されているPSE配合剤が,安全かつ有効な抗アレルギー薬であると考えている。本邦では,第二世代抗ヒスタミン薬FEX塩酸塩と塩酸PSEの配合錠(FEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠)が処方箋薬としてアレルギー性鼻炎の治療に用いられている。FEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠は,季節性アレルギー性鼻炎患者における鼻閉,くしゃみ,鼻汁及び鼻の痒みに対して強い抑制作用を有し,良好な忍容性がみられる抗アレルギー薬である。 このように,PSEと第二世代抗ヒスタミン薬の配合剤は優れた安全性プロファイルを有し,鼻閉を含むアレルギー性鼻炎症状全般を改善する薬剤であると考えられる。