原 著
鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎に係わる経済的損失
岡本美孝
1
BruceCrawford
2
,
奥泉薫
3
1千葉大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学・教授
2Adelphi Values・上級副社長/アジア地区マネージングディレクター
3サノフィ株式会社 メディカル本部 メディカルマネジャー
pp.983-991
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201403103
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日本のアレルギー性鼻炎全体の有病率は約4割であり,その3主徴の一つである鼻閉は,患者のQOL(quality of life)を著しく低下させる。本研究では本邦における鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎患者のQOLおよび鼻閉による影響について系統的な文献検索を行い,経済的損失を試算した。アレルギー性鼻炎患者のQOLは健常者と比較して有意に障害されており,鼻閉の症状は睡眠に対して鼻水やくしゃみよりも大きな影響を及ぼしていた。鼻閉が間接的にもたらす経済的影響については,労働生産性の低下と睡眠障害が関係する交通事故による経済的損失に注目して試算した。その結果,鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎患者の労働生産性の低下による経済的損失は日本全体で年間4兆3,966億円,睡眠障害による交通事故に係わる経済的損失は年間1,601億円,合計で4兆5,567億円(医療費は含まない)であると推計した。