特集 臨床研究の倫理的課題 ~最近の動向,論点,展望~
8.臨床研究における偶発的所見に関する倫理的課題
高島響子
1
1東京大学医科学研究所公共政策研究分野
pp.1991-1995
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014081991
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臨床研究を実施する過程において,研究の目的からは外れるものの,被験者の健康上の問題を示唆する所見が見つかることがある。これらは「偶発的所見」と呼ばれ,近年,人を対象とする研究における倫理的課題として注目され,専門家間で議論を呼んでいる。研究者は,〈1〉自身の研究において偶発的所見が生じ得る可能性を認識し,発生した場合の対処法(被験者への通知の有無を含む)をあらかじめ計画すること,〈2〉これらを研究計画書および被験者への説明文書に記載した上で研究倫理審査委員会に申請し承認を得ること,〈3〉偶発的所見に関する説明も十分に行った上で被験者のインフォームド・コンセントを得ること,〈4〉実際に偶発的所見が見つかった場合には事前の計画に応じて適切に対処することが求められる。