特集 臨床研究の倫理的課題 ~最近の動向,論点,展望~
6.再生医療の臨床研究と倫理 ~「医療革新」は研究か診療か~
山本圭一郎
1
,
田代志門
2
1東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野
2昭和大学研究推進室・講師
pp.1977-1980
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014081977
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「医療革新」は研究なのか診療なのか。この問題は再生医療の倫理においても活発に議論されてきた。そこでは,幹細胞を用いた革新を「研究」と見なすべきだとする立場が標準的であったが,「診療」に分類すべきだという見解も近年よく見受けられるようになった。その上,その革新を研究とも診療とも異なる「第三の道」として位置づける立場もあり,これら3つの立場の間で論争が繰り広げられているのが現状である。この論争を踏まえて国内の新たな規制の枠組みを見れば,それは研究と診療の区別に依拠しない点で最後の立場に近いと言える。ただし,この枠組みは研究と診療の区別に囚われない一方で,別の研究倫理的な問題を招く恐れがある。