特集 診療現場での倫理 Case Study
【ミニレクチャー】
「ヘルシンキ宣言」最新版
樋口 範雄
1
1東京大学大学院法学政治学研究科
pp.686
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101766
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ヘルシンキ宣言は1964年に開かれた世界医師会ヘルシンキ大会で採択された宣言である.国家の代表が集まった国連の宣言ではない.それにもかかわらず普遍的な医学研究倫理を条文化したものとして,大多数の国の医学研究に大きな影響を与えてきた.
世界医師会は最初の宣言後も内容の改訂を重ねてきた.1964年に22項目だった宣言が,度重なる改正で2000年には32項目に増加し,さらに2008年のソウル大会で最新の改正が加えられて35項目となった1).最新のヘルシンキ宣言は,人を対象とする医学研究の基本的な考え方を定めるパートAの10項目,より具体的諸原則を定めるパートBの20項目,とくに診療と結びついた研究に関するパートCの5項目,計35項目から成る2).主要な改正点は次のとおりである.
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