特集2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
6.CTEPHの内科的治療の適応および 新規CTEPH治療薬の有効性と安全性
田原宣広
2
,
田原敦子
1
,
本多亮博
1
,
新田良和
1
,
福本義弘
3
1久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門
2久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門 講師
3久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門 主任教授
pp.2853-2857
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201312129
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慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は,器質化血栓による肺動脈の狭窄・閉塞機転から肺血流分布ならびに肺循環動態の異常が6カ月以上にわたって固定している病態であり,肺高血圧症を呈し,低酸素血症や難治性右心不全をきたす可能性がある予後不良な疾患である。中枢型CTEPHに対しては,肺動脈血栓内膜摘除術が治療法の第一選択として確立されているが,末梢型CTEPH例,手術不可能例,術後に肺高血圧が残存・再発した例に対しては,内科的治療が中心となる。現在のところ,CTEPHに対して確立されたエビデンスを有する治療薬はなく,薬物治療例は生命予後が不良である。新しいクラスの経口肺血管拡張薬であるリオシグアトは,一酸化窒素(nitric oxide:NO)非依存性に可溶性グアニル酸シクラーゼを直接刺激する作用と内因性NOに対する可溶性グアニル酸シクラーゼの反応性を増強させる作用を有している。リオシグアトは,第II / III相臨床試験において,自覚症状,運動耐容能,肺血行動態を改善させており,忍容性や安全性についても評価できる薬剤と考えられる。