特集2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
5.CTEPHに対するバルーン肺動脈形成術の適応とその効果
大郷剛
1
1国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科部門 肺循環科・医長
pp.2845-2852
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201312121
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慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は,肺動脈の慢性血栓塞栓により肺血管抵抗(PVR)が上昇し,肺高血圧となり右心不全へ至る予後不良の疾患である。CTEPHの治療として,肺動脈血栓内膜摘除術(pulmonary endarterectomy:PEA)が確立され,現時点で最も推奨される治療であるが,手術適応外と判断された場合の問題は解決されていない。近年,手術適応外のCTEPHに対する治療として,バルーン肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)の成績が報告されている。国立循環器病研究センター病院では血管外科,肺循環科,放射線科でのカンファレンスにてPEA適応外の患者に精度の高いCT(computed tomography)を用いて末梢病変を評価し,BPAを施行したところ,著明な血行動態や臨床データの改善が得られ,重篤な合併症は認めていない。施設によりBPAのアプローチは異なるが,今後さまざまなBPAのデータが報告され,治療の効果や安全性も改善されていくことが予想される。