特集2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
2.CTEPHの疫学,成因と臨床症状
田邉信宏
1
1千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学・准教授
pp.2826-2830
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201312102
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慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)は,急性肺血栓塞栓症(acute pulmonary thromboembolism:APTE)の0.57~3.8%に見られるとされるが,約半数はAPTEの既往を認めず,労作時の息切れのみを症状とする。また,わが国の症例は女性に多いことが特徴とされ,この理由の一つとして,女性に多く深部静脈血栓症の頻度が低いHLA-B*5201と相関するタイプが見られることが報告されている。CTEPHの慢性化の機序はいまだ不明であるが,凝固亢進,線溶低下,炎症,免疫学的異常,血管新生の低下等により,血栓が残存し,中枢側,末梢側に進展,非閉塞部位の血管に肺動脈性肺高血圧症で見られるような細小血管病変をきたし,肺血管抵抗が上昇,右心不全に至るとされる。