特集2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
4.CTEPHの外科的治療の適応とその実際
荻野均
1
1東京医科大学心臓血管外科・主任教授
pp.2840-2844
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201312116
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慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対する根治的治療法として,肺動脈血栓内膜摘除術(pulmonary endarterectomy:PEA)がある。体外循環や超低体温循環停止など過大な侵襲を伴うが,正確な病態の把握,手術手技の向上,経験の蓄積などにより著しい成績の向上をみている。2013年のニースでの世界肺高血圧シンポジウムにおいても良好な成績が再確認され,推奨度はさらに高まった。一方,本邦の症例の特徴として,PEAが困難な末梢型肺動脈病変が多い傾向にあり,肺動脈バルーン形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)が改良,開発され,良好な成績が報告されている。中枢側病変を中心に依然としてPEAが第一選択であるが,遠位側病変に対するBPAの適応はほぼ確立されつつあり,今後は両者を適切に使い分けることが重要と考える。