特集 臓器移植の現況と今後の展望
5.肺移植の現況と今後の展望
岡田克典
1
,
近藤丘
2
1東北大学加齢医学研究所呼吸器外科学分野 准教授
2東北大学加齢医学研究所呼吸器外科学分野 教授
pp.2163-2167
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201309085
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肺移植は,終末期肺疾患に対する有効な治療法として確立しており,これまで欧米先進国を中心に約4万例の手術が報告されている。本邦においても,初の生体肺葉移植および脳死肺移植が,それぞれ1998年,2000年に行われ,2012年末までに脳死肺移植実施数は157例,生体肺葉移植実施数は125例となった。本邦における主な適応疾患は,肺動脈性肺高血圧症,特発性間質性肺炎,肺リンパ脈管筋腫症などである。国際登録による移植後5年生存率は約50%であり,本邦の成績はこれを上回っている。肺移植成績の更なる向上のためには,虚血・再灌流傷害と閉塞性細気管支炎の病態解明ならびに予防・治療法の確立が特に重要である。