特集 臓器移植の現況と今後の展望
3.心移植の現況と今後の展望
布田伸一
1
1東京女子医科大学東医療センター心臓血管診療部・教授
pp.2149-2155
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201309071
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2010年7月より施行された改正臓器移植法(改正法)により,心臓をはじめとする脳死ドナーは増加したが,法制上可能となった小児心移植は,改正法施行後もわずか2例しか行われていない。一方,心移植後の成績は,症例数は少ないものの,国際心・肺移植学会レジストリーで報告されている生存率に比べて極めて良好である。臓器移植の法整備が欧米並みになった現在,実施数を欧米並みにしていくためには,さまざまな職種の医療関係者,さまざまな社会への啓発をさらに展開し,臓器移植間では他臓器移植との連動をさらに強固にし,脳死下臓器提供の善意に確実に応えるようにしていかなければならない。そうすることで,今後増え続ける補助人工心臓装着患者に対しての受け皿を本当に用意できることになる。