特集 臓器移植の現況と今後の展望
1.臓器移植と免疫抑制療法の流れ ~腎移植を中心に~
高橋公太
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野・教授
pp.2137-2142
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201309059
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臓器移植の歴史は,免疫抑制療法の歴史と言っても過言ではない。最近のその成績は,免疫抑制療法の進歩と周術期の管理の改善により飛躍的に向上している。そのきっかけとなったのは,何と言っても1970年代の後半に臨床応用されたカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンの登場である。また,リンパ球に対するモノクローナル抗体なども上市され,さらに新しい代謝拮抗薬ミコフェノール酸が使用されるに至って,長期生着が得られるようになっている。
従来,臓器の機能廃絶は,拒絶反応が主な原因であったが,免疫抑制療法の進歩により拒絶反応の頻度が低下したため,さまざまな原因により起こり得るので,臓器移植患者の診療は移植臓器の機能のみを診るのではなく,予防や全身管理が重要なポイントになっている。