特集 宇宙医学研究の最先端
2.骨(2)宇宙における骨量低下と破骨細胞
篠原 正浩
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科システム発生・再生医学分野、科学技術振興機構さきがけ
キーワード:
宇宙飛行
,
骨粗鬆症
,
破骨細胞
,
破骨細胞分化因子RANKL
Keyword:
宇宙飛行
,
骨粗鬆症
,
破骨細胞
,
破骨細胞分化因子RANKL
pp.195-202
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000056
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骨組織に対する力学的荷重は骨組織の恒常性を維持する重要な要素であり,宇宙の微小重力環境や長期臥床といった状況では,骨吸収を担う破骨細胞の分化亢進による骨破壊が進行するために不動性骨粗鬆症を発症する.骨組織に力学的荷重がかからない状況での骨破壊の要因として,破骨細胞前駆細胞の易分化性の上昇と破骨細胞分化因子RANKL の発現上昇が考えられる.本稿では微小重力における骨破壊に関するこれまでの知見を基にして,微小重力環境における骨破壊について破骨細胞の観点から概説する.今後,研究が進展して分子レベルで宇宙における骨破壊のメカニズムが明らかにされれば,宇宙における骨破壊のみならず寝たきりなどによる不動性骨粗鬆症の病態理解や特異的な治療法の開発に結びつくことが期待される.
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