発行日 2016年11月20日
Published Date 2016/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2017095252
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50歳女。胆道系酵素優位の肝障害にて紹介受診した。検査成績はScheuerの原発性胆汁性胆管炎(PBC)病期別分類stage 2に相当する所見であったが、高IgG血症、抗核抗体強陽性から自己免疫性肝炎(AIH)の合併も示唆され、肝病理組織ではPBCに特徴的な所見と慢性活動性肝炎の像を認めた。活動性の高いPBCとしてウルソデオキシコール酸(UDCA)を投与するも肝機能検査値の正常化には至らず、厚生労働省の診断指針に照らし合わせて再検討した結果、PBC-AIHオーバーラップ症候群の診断指針に一致した。ステロイド投与の適応と判断するも、プレドニゾロン(PSL)は無効であり、UDCAとベサフィブラートの併用により肝機能検査値は正常化した。また、PSL中止後も肝炎の再燃や検査値の異常は認めず、本症例においてはAIHの病態は関与していなかった可能性が示唆された。
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