特集 大腸内分泌細胞腫瘍─WHOの考え方と日本の考え方
Ⅲ.大腸内分泌細胞癌(1)病理診断─ WHO 分類と日本分類の相違
伴 慎一
1
1獨協医科大学埼玉医療センター病理診断科
キーワード:
大腸
,
内分泌細胞癌
,
病理診断
,
免疫染色
,
生検
Keyword:
大腸
,
内分泌細胞癌
,
病理診断
,
免疫染色
,
生検
pp.27-37
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000294
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大腸内分泌細胞癌は,まれではあるが悪性度が高く予後不良な腫瘍であり,病理組織学的に確実に診断される必要がある.病理診断に際して,現時点で考慮すべき問題点・注意点は,以下のようなことである:① 大腸内分泌細胞癌の病理組織診断は,一定の組織形態学的特徴を有している高異型度癌に免疫染色で十分な内分泌細胞分化が確認された場合になされる.WHO 分類のneuroendocrinecarcinoma(NEC)にほぼ対応するものの,分類の基準が異なる.② 内分泌細胞分化に乏しい低分化癌との鑑別が困難な場合が少なくないため,疑われる場合は積極的に免疫染色を実施して内分泌細胞分化の有無を確認する必要がある.免疫染色の結果の評価には一定の注意を要する.③ 内分泌細胞癌は,しばしば併存する腺腫・腺癌成分とともに腫瘍病巣を形成するが(腺内分泌細胞癌,WHO 分類のMANEC),内分泌細胞癌成分が少量(WHO 分類の定義上,adenocarcinomaと診断される量)であっても予後に関連するため,確実に診断・記載される必要がある.④ 生検組織診断では,手術切除検体との組織像の印象の違い,内分泌細胞癌成分が採取されていない可能性(腺腫・腺癌成分のみの採取,壊死組織や非腫瘍性粘膜のみの採取)に注意する必要がある.
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