特集 IBD診療―ますます増えた薬剤の選択とさらなる進化の展望
3.これからの新しい医療に対する展望(5)IBDの遠隔医療と病診連携・病病連携のこれから
林 優希
1
,
横山 佳浩
1
,
風間 友江
1,2
,
平山 大輔
1
,
仲瀬 裕志
1
1札幌医科大学医学部消化器内科学講座
2札幌医科大学医学部炎症性腸疾患遠隔医療講座
キーワード:
遠隔医療
,
オンライン診療
,
多機関医療協力システム
,
遠隔連携診療
,
炎症性腸疾患
Keyword:
遠隔医療
,
オンライン診療
,
多機関医療協力システム
,
遠隔連携診療
,
炎症性腸疾患
pp.212-217
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002935
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遠隔医療は25年以上の歴史があり,情報通信技術(ICT)の進歩に伴って実施形式が変化している.2010年後半には扱える情報通信量が飛躍的に増大した影響で,医師と患者がビデオ通話を使って診療を実施する遠隔診療が実用的となり,2018年より保険診療での実施が可能となった.札幌医科大学では,IBD患者に対して専門医とかかりつけ医が連携するD to P with D型の遠隔連携診療を開始し,2021年からの30カ月間で56症例90回の診療を実施した.しかし遠隔連携診療料の基準に該当する患者はわずか25%であり,現行の診療報酬では地域の医師と患者が求めるニーズを満たしていないことがわかった.一方,依頼から3時間後に遠隔診療を実施した出血性ショックを伴う潰瘍性大腸炎の患者において,オンラインで検査結果共有や診察を実施することで,外科手術を回避できた1例を経験した.ICTの進歩を積極的に取り入れることで,遠隔診療は救命に近い重篤な患者にも有効な診療ツールとなる可能性がある.
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