連載 内視鏡の読み方
食道疣状扁平上皮癌
小林 亮介
1
,
佐藤 博紀
2
,
尾関 雄一郎
1
,
佐藤 知子
1
,
平澤 欣吾
1
,
前田 愼
2
1横浜市立大学附属市民総合医療センター内視鏡部
2横浜市立大学消化器内科学教室
キーワード:
食道疣状扁平上皮癌
,
白色隆起
,
疣状・乳頭状
,
高度角化
,
cold snare polypectomy
Keyword:
食道疣状扁平上皮癌
,
白色隆起
,
疣状・乳頭状
,
高度角化
,
cold snare polypectomy
pp.1708-1711
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002877
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疣状癌(verrucous carcinoma;VC)は頭頸部・口腔・皮膚などに多く,食道原発の疣状扁平上皮癌(verrucous squamous cell carcinoma;EVC)は非常にまれである.「食道癌取扱い規約」では,きわめて高分化な乳頭状発育を示す扁平上皮癌の一亜型とされ,発育は緩徐で局所浸潤はあるものの転移は少なく予後は比較的良好とされている.現時点では発生機序は不明であるが,既往歴として食道アカラシア,食道憩室,逆流性食道炎などが報告されており,食物停滞に起因する機械的刺激がVCの発生に関連していると推測される.内視鏡では白色調の隆起を伴った特徴的な形態を示すが,腫瘍の細胞異型が軽度で,加えて表層の角化が高度であることから,生検による癌の診断がつかず良性病変と誤診され,長期にわたり経過観察されてしまう症例も多い.それゆえこの病態を認識しているかが,診断をするうえで重要となってくる.
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