特集 消化器病漢方治療―理論と実践
3 .理論:漢方薬作用機序の科学的解明 (1)六君子湯
武田 宏司
1
,
大久保 直登
1
,
中川 宏治
1
,
大西 俊介
2
,
藤塚 直樹
3
,
服部 智久
3
1北海道大学大学院薬学研究院臨床病態解析学
2北海道大学大学院医学研究院消化器内科学
3株式会社ツムラ
キーワード:
六君子湯
,
グレリン
,
セロトニン受容体
,
グレリン受容体
,
サーチュイン1
Keyword:
六君子湯
,
グレリン
,
セロトニン受容体
,
グレリン受容体
,
サーチュイン1
pp.1349-1356
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000526
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六君子湯は上部消化管症状や食欲不振に対して使用されている漢方薬であるが,近年その作用機序が明らかになりつつある.六君子湯は5—HT2B/5—HT2C受容体の阻害によるグレリン分泌亢進あるいは分解阻害により血中グレリン濃度を上昇させる.また,ホスホジエステラーゼ3阻害およびグレリン受容体の感受性亢進などを介してグレリン抵抗性を解除する.さらに,5—HT2Cなど複数の受容体の阻害により抗ストレス作用を示す.最近の研究で,六君子湯がサーチュイン1活性化などを介してマウスの寿命延長をもたらすことが明らかになった.六君子湯は,脳腸軸を構成する複数の標的に作用し,グレリンシステムを増強して生体の機能異常を改善する薬剤と考えられる.
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