膵癌update
Ⅲ 治療 ⑬緩和ケア
辻本 彰子
1
,
喜多 絵美里
1
,
須藤 研太郎
1
,
中村 和貴
1
,
山口 武人
1
1千葉県がんセンター消化器内科
キーワード:
緩和ケア
,
精神ケア
,
疼痛管理
,
栄養管理
Keyword:
緩和ケア
,
精神ケア
,
疼痛管理
,
栄養管理
pp.887-890
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000408
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緩和ケアは,がん対策基本法において,「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的もしくは精神的な苦痛または社会生活上の不安を緩和することにより,その療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療,看護その他の行為」(第十五条)と定義されている.また,癌患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策として,「緩和ケアが診断時から適切に提供されること」(第十七条)と明記されており,治療初期段階から緩和ケアを実施することの重要性が近年認識されつつある(図1).緩和ケアの早期導入の有用性についてはあまり検討されてこなかったが,2010年切除不能非小細胞肺がん患者を対象にした無作為化試験において,通常治療群に対し,早期から緩和ケア介入を行った群のほうが,QOL,抑うつ症状,疾患理解が改善されることが報告されている.すべての癌腫において早期からの緩和ケアが有用であるかどうか,またそのように介入することの費用対効果やマンパワーの問題などは今後さらなる検討が必要と思われるが,少なくとも早期から緩和ケアを導入し,終末期に向けての話し合いや精神的ケアを行っていくことには大きな意義があると考えられる.
本稿では,膵癌患者における緩和ケアについて,おもに精神ケア・疼痛管理・栄養管理の面から概説する.
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