特集 透析室の感染症へどう対応するか
各論 10.血液透析患者の敗血症―リスク因子と原因菌
小口 健一
1
,
岩淵 仁
1
,
浅野 学
1
1望星会望星病院
キーワード:
血液透析
,
敗血症
,
死因
,
カテーテル
,
血清アルブミン
Keyword:
血液透析
,
敗血症
,
死因
,
カテーテル
,
血清アルブミン
pp.619-627
発行日 2018年6月10日
Published Date 2018/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000500
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感染症は心不全と同様にわが国における透析患者の主たる死因である.なかでも敗血症は高い死亡率から深刻な脅威として知られている.われわれは91例(女性41 例)の敗血症患者を分析し,以下の知見を得た.グラム陽性球菌がすべての菌種の75.5 %を占め,その84.3 %がブドウ球菌であった.さらにブドウ球菌の70 %はMRSN,MRCNS のいずれかであった.91 例中56 例がカテーテル留置を行っていた.感染経路としては,カテーテル感染が21 例,尿路感染が12 例,呼吸器感染が9 例,皮膚感染が6 例であった.91 例中57 例が経過中に死亡し,その半数が耐性ブドウ球菌を有していた.多変量解析の結果からはCRP(OR 1.070,95 % CI 1.017~1.126)とアルブミン値(OR 0.193,CI 0.071~0.524)が重要な予後関連因子であることが判明した.敗血症に対しての戦略には四つの太い柱があることを強調したい.まず外科的措置による感染源の制御である.次に患者の身体条件の改善である.3 本目の柱は強力かつ的確な化学療法を迅速に実施することである.加えてカテーテル使用の頻度を減らすことがエビデンスに裏付けられた予防的戦略に挙げられる.
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