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公益社団法人日本麻酔科学会第70回学術集会講演特集号 招待講演
循環器領域における人工臓器の現状と展望
Current status and future prospects of artificial organs in the cardiovascular field
宮川 繁
1
Shigeru MIYAGAWA
1
1大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科
キーワード:
細胞
,
細胞シート
,
筋芽細胞
,
iPS細胞
,
心不全
Keyword:
細胞
,
細胞シート
,
筋芽細胞
,
iPS細胞
,
心不全
pp.S111-S116
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2023130017
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はじめに
重症心不全治療としてもっとも重要な治療法である心臓移植は,きわめて深刻なドナー不足であり,新しい移植法案が可決されたものの,欧米レベルの汎用性の高い治療法としての普及は困難が予想される。一方,左室補助人工心臓(LVAD)については,日本では移植待機期間が長期であるため,感染症や脳血栓などの合併症が成績に大きく影響している。このような状況の中,さまざまな新しい治療が模索され始めている。一つは,人工心臓の永久使用(destination therapy)と完全置換型人工心臓である。また,最近では,Impella(アビオメッド,マサチューセッツ)やBIOFLOAT® NCVC®(ニプロ,大阪)などの新しい循環補助デバイスも臨床応用化されており,特に急性心不全や呼吸不全の救命率も向上している。心臓移植においては,近年,遺伝子改変ブタを用いた異種移植がアメリカで施行され,数カ月で拒絶反応により患者死亡となったが,今後の新しい心不全治療として期待される。また,もう一つは,再生医療である。特に重症心不全に対する再生治療においては,細胞移植,組織移植,また再生医療的手法を用いた創薬研究の研究が進み,臨床応用化が進んでいる。
前記のように,人工心臓,心臓移植をはじめとした置換型治療は,新規人工心臓や異種移植のように新しい局面を迎えているが,本稿では,筋芽細胞シートや人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS)細胞由来心筋細胞シートを用いた心不全治療の試みを概説する。
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