特集 生殖医療の保険適用の実際Ⅱ
企画者のことば
末岡 浩
1
Kou Sueoka
1
1慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002572
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2022年4月から生殖医療の健康保険適用が開始されたことは,これまで自費の患者負担で行われてきた生殖医療に対して,政府を挙げて協力体制が整い始めたことの証左とも理解できます。この医療に対する社会の認識が高まったことを,医療者である多くの産婦人科医も,治療を受ける患者とともに感謝の念をもって受け止めていると思います。その一方で,これまで以上に襟を正して医療を提供する認識を高めなくてはならないことも事実です。国民が供出した医療費から支払われる,いわば曖昧さや無駄が許されない医療であるからです。菅政権の公約から急遽施行された制度改正によって,行政も,またそれ以上に医療現場を司る医療機関に大きな混乱が予想され,実務における対応も,Q & Aの説明文書が作られたり,学会などの媒体を通じて意見交換がされるなど,事前に詳細な準備がなされてきました。それでも基本ルールでは解釈しづらい様々な事例や疑問が生じてきたことも事実です。最終的には保険審査の過程のなかで明確になってきた治療内容への判断も,徐々に集積されてきました。
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