特集 発生から紐解く 胎児超音波診断アトラス [Web動画付]
第4章 心臓以外の超音波検査
4.頭蓋顔面の異常
-c.小顎症
加地 剛
1
T. Kaji
1
1徳島大学病院産科婦人科
pp.1435-1437
発行日 2020年11月30日
Published Date 2020/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001521
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
小顎症(micrognathia)とは下顎が小さい状態であるが,正確には正面からみたときに下顎の高さと幅が小さい状態と定義されている1)。一方,下顎後退(retrognathia)とは下顎の位置異常で,側面から観察したときに下顎が後方に偏位している状態を指す1)。このように本来,小顎症と下顎後退とは別なものである。しかしながら,これらは併発していることが多く,また胎児では区別が難しいこともあり,胎児診断においては2つを総じて広義の“小顎症”ということが一般的である2)。本稿でも,広義の“小顎症”を用いる。小顎症は,ほかの顔面異常同様に染色体異常や症候群などに伴って認められることが多い。一方で,小顎症では気道確保を要することがあるため,小顎症自体の診断およびその程度を出生前に知ることは重要である。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.