特集 妊産婦死亡をどう防ぐかⅡ
各論
10.妊産婦死亡と病理解剖
-—その必要性と今後の課題—
若狹 朋子
1
T. Wakasa
1
1近畿大学奈良病院病理診断科(准教授)
pp.1519-1523
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001112
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妊娠・分娩の仕組みはいまだ解明されていない点が多い。妊婦には侵襲的な検査ができない場合も多いことから,妊娠・分娩に関連した病態の研究は進んでいない。このため,異常妊娠・異常分娩の病態の理解のためには,事後のデータではあるが,病理解剖が多くの情報を提供する。妊産婦死亡登録事業に登録された解剖症例42例について検討したところ,15例36%の症例では剖検診断と臨床診断に不一致があった。現在,死後画像(Ai)の活用が模索されているが,妊産婦死亡症例については画像だけでは確定診断できない疾患が多いことから,妊産婦死亡が発生したときにはAiと病理解剖の併用が望ましいと考える。
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