特集 On Fleek 産婦人科手術
Ⅰ.低侵襲手術
良性
11.腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)―理想と現実の狭間
市川 雅男
1
,
可世木 華子
1
,
明樂 重夫
1
Ichikawa Masao
1
,
Kaseki Hanako
1
,
Akira Shigeo
1
1日本医科大学産婦人科
pp.1288-1300
発行日 2018年10月31日
Published Date 2018/10/31
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000624
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腹腔鏡下仙骨腟固定術(特に,ダブルメッシュLSC)は2016年に保険収載され,ますます注目を集めている。この術式は,腹式仙骨腟固定術(ASC)と同様に腟断端脱治療のゴールドスタンダードといえる。しかし,膀胱瘤,直腸瘤などを伴う複合的な骨盤臓器脱に対するその治療効果ははっきりしていない。そこで今回,LSCの複合的な骨盤臓器脱に対する治療効果を検討するために,ASCとのRCTを中心に文献的考察を実施した。その結果,膀胱瘤に関しては,LSCよりもASCのほうが治療成績は良好であった。一方,直腸瘤に対しては同様の成績であったが,どちらの群でも再手術を必要とする症例が存在した。さらに,LSCでは,メッシュ除去手術率が2.5%とASCの0.8%より高かった。これのみでは有意差はなかったが,脱再発手術症例数と合わせると,LSC群はASC群に比べて再手術率が有意に多かった。
これらの結果から,現時点ではLSCは複合的な骨盤臓器脱に対して必ずしもASCより優れているとはいえなかった。そこで,これらの結果に至った原因を分析し,どのようにLSCを改善すれば,この術式が真にASCよりも優れた術式になりうるのかについて,筆者の考えを示した。
Copyright © 2018, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.