症例
左腹膜垂炎と診断された左右両側の下腹部痛の小児例
山本 景子
1
,
虎谷 昌保
2
,
前川 加奈美
1
,
岡田 陽子
1
1国立病院機構大阪医療センター小児科
2同 放射線診断科
pp.286-290
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002967
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小児の腹痛の原因は多様だが,小児における腹膜垂炎はまれである.腹膜垂炎の患者では,症状としては急性の下腹部痛を,診察所見としては局所の圧痛を認めることが多いが,反跳痛や筋性防御は伴う場合と伴わない場合とがある1).これらの腹膜垂炎の症状や所見は非特異的であるため,急性虫垂炎や憩室炎,大網梗塞などとの鑑別が難しく,過去に手術により腹膜垂炎と診断された症例報告2)3)もあるが,近年では腹部CT検査により腹膜垂炎と診断される症例が増加しつつある1).今日では腹膜垂炎は自然治癒する疾患と考えられており治療の第一選択は保存的治療のため4),小児の腹痛においても腹膜垂炎を鑑別診断に挙げ,診断を行うことが重要である.
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