綜説
未熟児網膜症治療up date
野々部 典枝
1
1名古屋大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター新生児部門
pp.266-271
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002962
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未熟児網膜症(ROP)の治療が網膜光凝固術から抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法へと切り替わりつつある.網膜光凝固術後の経過や晩期合併症については詳細に判明しているが,抗VEGF療法後の長期予後に関してはまだ不明な点も多い.しかし,抗VEGF療法は網膜光凝固術にくらべて治療時間が短く,痛みも少ないため治療時の児の全身への負担が少ない.また,効果が速やかで術者の熟練度による差が出にくい.抗VEGF療法の普及後は網膜剥離へ進行する例が減少しており,強度近視にもなりにくく非常に有効な治療である.一方で再燃も多く長期間の頻回な眼底診察を要するため,退院後も通院の負担は大きい.網膜光凝固術と抗VEGF療法の特徴を理解して適切な治療選択を行うことが求められる.
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