特集 日常診療に活かせる 専門外来の知識とテクニックⅠ
4.夜尿症・昼間尿失禁
-――夜尿症外来
藤永 周一郎
1
1埼玉県立小児医療センター腎臓科
pp.131-137
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002936
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夜尿症の3大病因は,夜間多尿,低膀胱容量,覚醒障害であるが,いずれも発達の未熟性に起因しており,95%で器質的疾患を認めないため,ルーチンの血液検査や画像検査は不要である.初期診療で重要なのは,臨床的分類(一次性と二次性,あるいは単一症候性と非単一症候性)を念頭において患者評価を行うことである.急に夜尿が再発した二次性では,精神的ストレスの存在や器質的疾患の発症を考慮する.昼間尿失禁を合併する非単一症候性では,機能性便秘症や神経発達症の併存を考慮し,ウロセラピー,抗コリン薬によって昼間の尿禁制が獲得されてから夜尿の治療に移る.単一症候性に対する第一選択治療は,デスモプレシンとアラーム療法であり,抗コリン薬の単独治療は推奨されていない.三環系抗うつ薬は,専門医のみ使用を検討する.β3受容体作動薬は,とくに抗コリン薬との併用によって難治例に有効かもしれない.
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