小児医学最近の話題
小児におけるサル痘(2023年1月1日現在)
-――正しい知識を身につけ,正しく恐れる
石金 正裕
1,2,3
1国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
2AMR臨床リファレンスセンター
3WHO協力センター感染症内科専門医・指導医・評議員
キーワード:
サル痘
,
重症化リスク因子
,
家族内感染
,
性交時の皮膚・粘膜接触による接触感染
Keyword:
サル痘
,
重症化リスク因子
,
家族内感染
,
性交時の皮膚・粘膜接触による接触感染
pp.153-158
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002482
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サル痘は,2022年7月21日に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)と宣言された.18歳未満の小児の割合は,おおよそ1%と高くないが,1歳以下の小児であることは,妊婦や免疫不全と同様に,重症化リスク因子である.感染経路は,若年小児では保育者や同居家族との接触感染,思春期では成人と同様に性交渉時の皮膚・粘膜接触による感染に分かれ,臨床症状も感染経路に準じた症状を示す.疑ったら,保健所と相談し(4類感染症),皮膚病変などを地方衛生研究所や国立感染症研究所などに提出しPCR検査を行う.対症療法が原則だが,一部に抗ウイルス薬であるtecovirimat(国内未承認)を使用する.サル痘の曝露前・曝露後予防に天然痘ワクチン(LC16m8)が有効である.差別や偏見への対策も重要である.
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