特集 JRC蘇生ガイドライン2020
6.日本版敗血症診療ガイドラインとJRC蘇生ガイドラインの歴史的経緯
川崎 達也
1
,
清水 直樹
2
1静岡県立こども病院集中治療センター
2聖マリアンナ医科大学小児科学教室
キーワード:
Surviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)
,
日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)
,
蘇生ガイドライン
,
Consensus on Science with Treatment Recommendations(CoSTR)
,
GRADE
Keyword:
Surviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)
,
日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)
,
蘇生ガイドライン
,
Consensus on Science with Treatment Recommendations(CoSTR)
,
GRADE
pp.298-302
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002100
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1991年にsystemic inflammatory response syndrome(SIRS)を伴う感染症が敗血症,そのうち臓器機能障害を伴うものが重症敗血症と定義された1).1995年に米国で行われた疫学調査では重症敗血症の死亡率は28.6%(全年齢層)にも達していた.このような予後不良な病態の治療成績を改善することを目標に掲げ,エビデンスに基づいて敗血症診療の標準化を図ろうとする国際的な取り組みが開始された.
なお,SIRS基準を満たさずとも臓器機能障害をきたす感染症症例の生命予後も同様に良くないこと(特異度が低い)や,SIRS基準に基づいて診断された敗血症症例のなかに臓器機能障害をきたさず生命予後も良い症例が多く含まれること(感度が低い)が明らかにされたため,2016年に敗血症定義が変更された(Sepsis-3)2).Sepsis-3において敗血症は,「感染症に対する異常な(aberrant)または無秩序な(dysregulated)宿主応答とそれによる臓器機能障害」と定義し直された.この定義変更に伴って,SIRSの概念は消滅し,従来の重症敗血症という呼称も使用されなくなった.
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