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新生児栄養フォーラム小委員会鉄剤投与検討委員会で2003年9月に作成した「早産児に対する鉄剤投与のガイドライン」では,出生体重1,500g未満の児では全例に,出生体重1,500g以上では,経腸栄養が十分でない児を対象として鉄剤投与を行うように推奨した1).このガイドラインは,早産児がNICUを退院する頃に,正期産児と同等の鉄貯蔵量となることを目的としたものであった.しかしながら,NICU退院後も鉄欠乏状態が発生する危険性があること,正期産児でも鉄欠乏状態となる可能性があることから,今回のガイドラインでは,すべての新生児を対象として,食事性の鉄の摂取が十分となる離乳食の確立の時期までをガイドランの対象とした.さらに,早産児・低出生体重児の一部では輸血が必要な重症貧血が発症していること,鉄欠乏状態が神経発達と成長に影響することから,ガイドラインの題名は「新生児に対する鉄剤投与のガイドライン2017—早産児・低出生体重児の重症貧血予防と神経発達と成長の向上を目的として」となった2).そのため,鉄剤投与の推奨は,早産児では全例に行うことを推奨し,正期産児では投与の必要性は低いが状況に応じて投与が必要とした.同様に,本ガイドラインで推奨する鉄剤投与期間は,前回のガイドラインでは体重が2,500gに達するまでとし,その後は児の状況に応じて投与を継続または再開するようにしたが,今回は,NICU退院後の乳児期も含めた.ただし,両ガイドラインとも,ガイドラインの予防対象疾患は鉄欠乏性貧血であるが,鉄欠乏性貧血には至らないものの体内の鉄貯蔵量が減少している鉄欠乏状態の予防が一義的な目的である.表1に今回のガイドラインの概要を前回のものと比較して示す.
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