特集 多胎児を診る
1.多胎児の妊娠・分娩の問題
城 道久
1
,
石井 桂介
1
1大阪母子医療センター産科
キーワード:
多胎妊娠
,
膜性
,
分娩
,
周産期予後
,
母体合併症
Keyword:
多胎妊娠
,
膜性
,
分娩
,
周産期予後
,
母体合併症
pp.7-17
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001154
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双胎妊娠は妊娠初期の膜性診断が重要である.それは膜性による周産期管理が大きく異なるためである.双胎は単胎と比較し周産期死亡率が高い背景には,一絨毛膜双胎に関連した病態[双胎間輸血症候群(TTTS)など]が関係している.一絨毛膜に特有の病態としてTTTS,selective IUGR,双胎貧血多血症,TRAP sequence,一羊膜双胎があるが,出生後の児の予後に影響を与え得る疾患であり,妊娠中の管理および出生児のフォローが重要である.また一絨毛膜双胎では一児死亡が生じた場合に吻合血管を介したAcute Feto-fetal Hemorrhageによる生存児への影響が問題となる.双胎妊娠は約50%が早産となるが,多胎では単胎と比較し切迫早産や妊娠高血圧症候群が多く,加えて一絨毛膜に特有の病態を背景とし,自然早産や人工早産が多くなるためである.双胎の分娩方法は,先進児が頭位であれば,経腟分娩と帝王切開で母体および児の予後に差はない.双胎の分娩時期は母体・児の合併症がなければ妊娠38週での分娩が推奨されるが,一絨毛膜双胎では分娩まで児のモニタリングが考慮される.
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