４．鼻出血

小児の鼻出血は日常診療でよく遭遇するが，その多くは鼻中隔前下方のキーゼルバッハ部位からの出血である．そのため，鼻翼の圧迫が適切になされれば容易に止血することも多い．しかし，小児ではアレルギー性鼻炎や慢性鼻副鼻腔炎等の鼻炎罹患児も多く，鼻の掻痒感や鼻汁の違和感等に起因した鼻いじりによる機械的刺激での出血が多い．他に抗凝固薬使用の先天性心疾患児等で止血困難なために受診する例も多い．それ以外に，白血病や若年性血管線維腫等の特殊疾患や血小板機能異常症等のまれな疾患もあり注意を要する．出血部位同定困難例や反復例，止血困難例は高次機能医療機関に紹介し精査を行う．