Personal View
大学病院と経営,個人的な経験
原口 直樹
1
Naoki HARAGUCHI
1
1聖マリアンナ医科大学,整形外科学講座
pp.1257-1257
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000003562
- 有料閲覧
- 文献概要
いまから20年以上前のことであるが,出向していた病院が閉鎖になるという経験をした。小さな市中病院であったため6年間の勤務で職員とは相当親しくなっていたが,閉鎖するまでに目の当たりにした一部始終は忘れることができない。突然の閉院通告で職員は相当に落胆し,混乱した。整形外科の頑張りで経営状態は悪くはなかったが,この系列病院を維持する意義が薄れていた。私は出向であったため元の病院へ戻ることができたが,多くの職員は次の職場を慌てて探し始めた。親しい職員の中には抑うつ的になってしまうものもいた。病院敷地内の宿舎に住んでいたため,地域の学校に通う子供の友人の親とも親しく,病院の存続署名運動をしましょうかなどと言われる有様で,家族にも惨めな思いをさせたと思う。職員が徐々に抜け始め,総合医局は閑散としていった。まさに病院を閉じる当日というところまで残務整理をして,2011年にその病院を後にした。
Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.